2023年の夏、神谷町でのクリニック開業から早くも10年が経ちました。
2021年から2023年にかけて、私たちは新型コロナウイルスのパンデミックに立ち向かいました。この期間中、以前からの皮膚疾患に加え、ストレスや免疫力の低下に起因すると考えられる新たな皮膚疾患を抱える患者さんを初めて診察する機会が増えました。
感染症が5類になった現在でも、免疫系の疲れからくる皮膚疾患と既存の皮膚疾患の合併症に悩む患者さんが、定期的に受診されています。
コロナ禍で皮膚科診療を継続する中で、患者さんのお肌の状態を確認させて頂き、どの様に治療していくのがその方にとって最も良い方法かをご提案させて頂く為に、これまで以上に沢山の対話をさせて頂きました。
その中で私が感じた事は、神谷町で働く方々は、経営者や役職者として日本の中でも非常に責任の重い立場で仕事をされており、更には職場の部下やスタッフの方たちへの配慮だけでなく、ご自身のご家族に対しても強い責務を持って生活されているという事を強く感じました。東京という日本の経済の中心地で、この国を支えるために職務を全うされている方々へ、地元、神谷町で開業し、皮膚科医として何かもっとできることがないかを考えるようになりました。その中で以下の6つの新しい試みをクリニックの中で提供していきたいと思います。
新しい試み①★「グリーンタイム(ストレス肌ドックと美肌リハビリ)」
当院に受診される多くの患者さんが経営者や役職者として責任のある仕事に従事されており、睡眠時間の少なさや肌荒れ・肌の弱さなどが悩みの種になっています。特に自律神経のバランスの崩れが、身体の中からバランスを保ちにくい状態をつくり、皮膚に悪影響を与えていることが多いといつも感じています。
また、アレルギーがある方でも、アレルギー検査や予防的な自己ケアが後回しになっていることもあります。 そうした方々にも、皮膚科のかかりつけである通い慣れた当院であれば、たまにはご自身の為に肌の状態や自律神経のバランスを確認し、予防医療を受けられるシステムを提供できるのではないかと考え、ストレス肌ドックを導入しました。
また、私自身は皮膚科医として30年経ちますが、その間「光線療法の進化」をずっと見てまいりました。以前からエビデンスがあり信頼できる治療機器を患者さんに使いたい思いがあり、この度、長年患者さんにご提供したかった光線療法の機器を導入する事ができましたので、この忙しい地域で短期間で、しっかり効果を感じて頂ける効果的な治療を「美肌リハビリ」としてご提案させていただくことと致しました。
さらに、皮膚科専門医として私が標準的皮膚科治療をする際、強めのお薬から弱いお薬に変更していく時など、患者さんに負担がかからないようにしている漢方薬を、ドックの診断に組み合わせ、西洋医学と東洋医学のエッセンスを結合させて、自律神経のバランスなど、身体の内面から肌を整えるという、当院ならではのエビデンスのある治療スタイルで、国で推奨されている予防医療にも携わってまいります。
ドックの最後に、美肌リハビリの一つである「スーパーライザー」を体験して頂くことで、検査の緊張をほぐし日常の疲れをとる有意義な時間にして頂きたいと思っています。自分の身体と心に向き合いながらリラックスできる予防医療を年に一度ストレス肌ドックとしてご提案致します。
新しい試み②★「オレンジタイム(クリニックエステ、クリニックコスメ)」
オレンジタイムは当院の「美容皮膚科」を指します。ここでは、基礎疾患や皮膚病を抱えた患者さんが、保険診療と併用して「お肌のコンディションを整えることができる」ことを治療の目的としています。シミなどの肌のトラブルを早期に治療することは、美しいお肌で生き生きとしたシニアライフを過ごす手助けをします。
また、新しく児童思春期皮膚科を標榜科に加え、お子さんの皮膚トラブルによる様々な問題にも対応できるエステメニューやコスメも充実させていきます。美容皮膚科というと一般的に限られた年代の女性を対象としているイメージがまだまだありますが、当院のオレンジタイムはお子さんからお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、家族全員が気軽にお肌の悩みを相談・解決できる美容皮膚科を目指しています。
新しい試み③★「予約診察室」
私自身が体調を崩し通院していた際に、診察まで毎回3時間も待ち、早く仕事に戻らないと患者さんやスタッフを待たせてしまうという焦りを感じていた経験から、「質の高い安心した診療と、待ち時間を最小限に抑えること」に焦点を当てて「時間指定予約制の予約診察室」を導入しました。
私自身も家族の世話や子育てに時間を割く必要があり、時間に余裕がないため、待ち時間を最小限にして忙しい方や子育て中の方にも対応でき、かつ患者さん一人ひとりの診療にしっかり時間を確保出来るシステムをずっと提供したいと考えていました。現在、このシステムは既に稼働しており、お忙しい方をはじめ、お子さんやさまざまな年齢層の方からご好評をいただいております。待ち時間がなく、安心して診察を受けられるこの予約診療室は、飛行機のビジネスクラスや新幹線のグリーン車、指定席のようなイメージで、リラックスした雰囲気の中で受診していただけます。私やスタッフたちも落ち着いて患者さんとお話でき、より深く患者さんと関わることができ質の高い医療が提供出来ていると感じています。
新しい試み④★「web問診、当日順番待ち予約」
web問診や当日順番待ち予約ですが既に多くの患者さんにご理解・ご利用いただいており、感謝申し上げます。
web問診を事前に入力いただくことで、診察時のカルテ準備がスムーズに進行し、診察までの時間を短縮できます。今後、国のdx化(デジタル変革)が進展するにつれて、患者さんがこのシステムに適応していくことが期待されています。
また当日順番待ち予約については、全国の70歳代までの7割が利用しているLINEを活用しております。今後も国や自治体においてはLINEとの連携が進んでいく事と思われます。しかし、患者さんの中にはLINEを使いたくない方や毎回のweb問診入力が煩わしく感じられる方もいらっしゃるのも理解しております。不慣れな方へはスタッフがサポート致しますのでご安心ください。国の医療dx化は、私達医療従事者も患者さんも受け入れていく必要があり、全てを一気に変えるのではなく、徐々にステップを踏みながら変化していくことで、どの年齢層の患者さんにも受け入れやすくなるようにしていくことを大切にしております。クリニックも患者さんとともに変化に対応し、スムーズな移行を進めていきたいと思っています。
新しい試み⑤★「電子処方箋と院内電子カルテ連携」
今後は更に「電子処方箋の導入」と、国が開発中の「全ての医療機関が連携するクラウド型電子カルテ」と院内電子カルテとの連携が進んでいきます。先日、子供達の入試出願もマイナンバーカードを用いたものに変わることを知りました。
医療分野でもAIの活用が始まり、少子化の為、機械に任せられる所は任せAI以外の所では長く働いていける問題解決能力を持った人材が、患者さんと心を寄せる事ができる環境に移行し、チーム医療に携わっていく方向に進化していきます。世の中は常に変化し続け、次回このようなメッセージを書く機会には、今回の変革が懐かしいものとなっていることでしょう。しかし、クリニックの理念や患者さんとの関わり方に変化はありません。あらゆることの変化が加速している時代ですが、私たちクリニックは変わらず安心感を感じて頂ける様、引き続きスタッフ一同努力してまいります。どうぞご安心下さい。
新しい試み⑥★「グリーンタイムとオレンジタイムのマークについて」
「グリーンタイム」と「オレンジタイム」のマークは、クリニックのロゴ(地域医療を行う港区のお花であるバラの花)と同様に、さまざまな世代の患者さんにクリニックを視覚的に理解してもらうためのピクトグラムとして考案いたしました(商標登録済み)。
2023年 夏
院長 太田みか